毎年3月の中旬から5月の中旬までタイ国の小•中‧高校は学校の年度末となり、夏休みに入ります。皆様は、色々な場所で親と一緒に遊んだり、楽しそうに過ごしたりしている子どもの姿をよく見かけられることでしょう。一方で、東北地方の多くの家族には貧困問題のため、中学を卒業するまで勉強を続けるために、例え僅かなお金の為にでも、この期間に他の県で仕事に従事している親と一時的に一緒に暮らしながら親の仕事を手伝ったりします。バンコクの繁華街のお店や建設現場で仕事をしている子どもたちの姿をよく見かけられることと思います。
中学校1年生になる新しい奨学生についてのシステムを改めて説明させていただきます。1月~2月の間に学校の先生を通して、恵まれない子どもからの奨学金申請書と写真がEDFへ送られて来ます。申請書に書いてある学生の情報に基づき、奨学金支給対象となる生徒を選考し、学校へ2月~3月の間に奨学生のリストを報告します。選定された生徒は、直ぐ先生との連名で奨学生専用の銀行通帳を発行します。その後、新学期が始まる5月になって、EDFは学校側に、奨学生に選定された学生が本当に学校に通っているかどうかをチェックしてもらい、無事に学校に通えるようになったと確認できた後、6月~7月に奨学金を振り込みます。振込みのダブルチェックと経理的なレポート作成のために、各学校の担当先生には奨学金がきちんと振込まれたことを示した通帳のページ・コピーをEDF宛に送信することをお願いしております。
2016年度奨学金を申請してきました何千人もの子供達の中から、4人の子どもから寄せられたお話を紹介させていただきます。
バンディット(ペック)小学6年生 ムックダーハン県
両親が離婚したのはペック君が幼い頃でした。今は畑にある小屋で母、祖父、弟と4人で暮らしています。お母さんは家族の面倒を見なければなりません。地域での日雇い仕事がなくなったら、バンコクに出稼ぎに行っています。お金がない時にペック君は家の周りで見つけられる野菜や魚などを取り、料理を作ります。
「中学進学のチャンスをもらえたら、頑張って勉強します。その勉強したことを生かして、いつか家族が貧乏から抜け出せるように頑張ります。どなたかの「ご支援」をいただければ、大変嬉しいです。」
スポット(フルック)小学6年生 ルーイ県
お父さんとお母さんは離れて暮らしているので、祖父母と生活をしています。日雇い仕事から得る祖父の収入は不安定で、生活費が足りないこともあります。祖父はいつも夜遅くまで仕事をしています。フルック君は毎日急いで家に帰って、弟の面倒を見たり、家事をしたりしなければなりません。
「私は将来プロサッカー選手になりたいです。私の家族は貧しく、スポーツ選手という夢を実現することができるかどうかまだわかりません。」
スパーマート(パット)小学6年生 ナコーンラーチャシーマー県
お父さんが亡くなってから、お母さんが家族の大黒柱として全ての負担を担っています。パットちゃんは成績が優秀で、友達に勉強のわからない事があったら、よく教えてあげます。しかし、家族はとても貧しく、中学へ進学しても卒業することができるかどうか悩んでいます。
「私の家族は大変厳しい生活を送っていますが、一生懸命頑張って勉強をしています。毎日仕事に疲れている母に少しでも休んでもらいたいから、全ての家事は私がしています。」
ティッパワーン(アイス)小学6年生 ブリーラム県
アイスちゃんの両親は他の県で働いており、毎月1,000バーツくらいを送金してくれますが、生活には足りません。このお金は6人分の生活費に使用されているからです。そして、アイスちゃんは家族を支えるため、土日に稼ぐことができる仕事があったら何の仕事でも受け入れます。
「学校で先生や友達に会ったり、勉強したりすることが楽しいので、毎日学校へ行きたいです。しかし、私の家族の生活は大変なので、今のように毎日先生や友達に会えるのはいつまで続けられるかわかりません。」
EDFでは前述しましたようなシステムで運営しておりますので、皆様のご寄付金は、学校と地域の教育委員会との長年の信頼関係と相互のチェック機能により、的確に、恵まれない奨学生たちに届けられ、彼らの勉強に効果的に使用されております。また、支援者の皆様が、奨学生本人にお会いになりたい場合には、御連絡戴ければ手配させて戴いております。このように、正に「顔が見える」奨学金制度です。
2016年度進学の子どもたちへの募金は、2016年5月31日まで行っていますので、恵まれない子どもたちに、教育を通して、夢を待つことの出来る機会を与え、将来、この子供達が、タイの社会を支える良い大人になっていくために、皆様には、これからも引き続きご支援・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
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