支援をする意味とは？

　オーストラリア心理学者（医者）及びチャットウードのロータリークラブ(Rotary Club of Chatswood)の代表でもあるプレーム・ナイデュー博士（Dr. Prem Naidoo）とインタビューする機会がありました。プレーム博士は、EDFと協力し、貧しくて恵まれていない東北地方の子どもたちに高校レベルまで教育支援を行うタイ・エッド・プロジェクト（Thai-Ed Project）を開始しました。このプロジェクトの下で奨学金を受けた学生は、今年で100人に達しています。
 

EDF:  プレーム博士がこのプロジェクトを立てた理由は何ですか？
Dr.Prem: 以前、ダルニーという女の子と出会ったことがきっかけで奨学金事業を始めたことを知ってウェッブサイトでEDFについて詳しく調べた後でEDFに連絡を取りました。またこのプロジェクトを始める前に、EDFのスタッフと一緒にタイ東北地方の現地調査を行いました。EDFスタッフは現地で子どもたちの教育の現状と奨学金の必要性について分かりやすく説明してくれました。更に、奨学金事業の信頼性、透明性が高く、この奨学金が子どもたちに本当に役立つものだと実感しました。

EDF:  色々なチャリティー活動を実施した経験から、支援機関とドナーの間に横たわる大きな障壁は何だとお考えですか？
Dr.Prem: ドナーが支援機関に関心を持つ前に、まず支援機関自身がドナーとの信頼関係を築かなければなりません。支援機関とドナーの関係は非常に重要なことであり、ドナーに対して十分な情報を絶えず提供し、ドナーの支援活動を尊重しなければなりません。なぜならば、我々に運営を任せてくれたお金はドナーが苦労して稼いだお金だからです。ドナーの皆さん対する感謝の気持ちは忘れてはいけません。
 

EDF: ロータリークラブとThai Edプロジェクトはどんな関係を持っていますか。またこのプロジェクトの寄付金を集めるために、どんなことをなさいましたか？
Dr.Prem: このプロジェクトの実現に力になってくださった機関は、シドニーにあるチャットウードロータリークラブとバンコクのロータリークラブです。プロジェクトの計画は、まず東北地方の高校レベルの学生に奨学金を給付することです。さらにロータリークラブの協力によって、コンピューター、図書館の必要品など援助範囲を拡大することができました。寄付金のほとんどは各ドナーから寄付してくださったもので、2008年2月の1月で50人分もの奨学金を集めることができました。私がシドニーの有名な学校に連絡した結果、学生たちは自分より恵まれていない人に対する思いやりを持っているようで、自ら直接に援助するという要望がありました。彼らはまさに世界の救世主だと思います。現時点で2校からもっと情報を提供してほしいという要望がきています。さらに、シドニーの有名なレストランにおいて慈善活動のイベントを実施する計画を立てました。この活動が成功したら、今後、目的に合わせてタイレストランでも実施したいと思います。

EDF: 教育はどのように子どもたちを貧困から助けられるのでしょうか？
Dr.Prem: 社会的文化的に貧困問題に直面している人々は、この状況から脱出することができないと思ってしまいがちです。そして、この状況から脱出する能力がないという気持ちが固まってしまい、何十年経ってもこの気持ちは消えません。しかし、教育はこの絶望感を破壊させることができると思います。教育は勉強して試験を合格することだけではなく、生活を良くすることは夢ではなく、実現させることができるという考え方を身につける手段なのです。
東北地方の子どもたちも同様に、皆それぞれの夢を持っていますが、夢を叶えるのに教育は欠かせないものです。

EDF: 支援をしている方にメッセージを送っていただけますか？
Dr.Prem: 私にとって人生の意義は、人間関係に関わりがあります。世界の恵まれない人たちを助けることと社会に貢献することは人との関係を築く最高の方法だと信じています。幸せと人生の価値はもらうことからではなく、あげることから生まれるものだと気付きました。支援をされている方も、同じように気付いたのではないでしょうか。
最後に南アの黒人解放運動指導者ネルソン・マンデラ氏の名言を送りたいです。

『貧困を無くすことは慈善のためではなく、公平のためである。』

 

（2008年6月、ダルニーニュース15号より）