チョンティチャー・パンウォンサー
チョンティチャー・パンウォンサー 重労働で稼いで生活しているたくましい中3の女の子
タイの農村には、家計を支えるために、重労働に従事している子どもたちがいます。労働法に照らし合わせて、子どもたちがこのような形で働くべきか否かについて判断するのは難しいことです。
 
極度の貧困、家庭の崩壊、子どもを高齢者に預ける親。このような事情から、自分と家族の生活を支えるために必死に働かなければならない子どもたちがいます。そのため、タイの都会から遠く離れた農村部では、小さな子どもたちが、農地や工場で働く姿をよく見かけます。
 
チョンティチャー・パンウォンサー(愛称はタップティム)は14歳の女の子で、EDFの奨学生です。チャイヤプーム県コーンサーン郡のバーントゥンプラ校に通う中学校3年生です。タップティムは、60歳になる祖父母と姉の息子にあたる甥と一緒に暮らしています。彼女たちが住んでいるのは、セメントを塗ったレンガ積みの平屋建ての家です。家の中には、がらんとした部屋が一部屋あるだけで、そこに皆が一緒に寝て暮らしています。
 
タップティムの両親は離婚しました。父親については、どこかに働きに行ったまま、どこにいるのか、誰も知りません。ただ、しばらくして、一度だけ、娘に会うために家に帰ってきたことがあります。しかし、父親が娘のために送金してくれることはありません。
 
母親は、チョンブリー県で働いており、毎月お金を送ってくれます。でも金額は多くありません。タップティムの祖父は、日雇いの農作業をして働いています。たとえば、稲刈りが終わった田んぼで稲を引き抜く仕事をしています。しかし、報酬として受け取るのは、現金ではなく、白米です。祖母が、この農作業を手伝うこともあります。他に、祖母は、政府から毎月600バーツを受け取っています。
 
祖母は、ボランティアとして村の健康増進のためのプロジェクトに関わっています。ボランティアの仕事は、タップティムの母親から引き継いだものです。そのため、祖母は、村で健康増進のための活動が実施されるときは、毎回参加しなければなりません。
 
このような家庭事情から、タップティムは一家の大黒柱として働いています。毎朝、食事の準備をして、家の仕事を片付けてから、登校します。学校から戻ってからも、甥の世話をしなければなりません。
 
タップティムは、毎日、学校へ20バーツを持っていきます。日によっては、学校の中にあるお店で、昼食を買わなければならないこともあります。というのも、学校は生徒全員に、十分な昼食を提供することが出来ないからです。20バーツのうち残ったお金は、先生に預けています。そのお金は、現在約500バーツになりました。
 
土日と休日は、タップティムは、近所の人達と一緒に、サトウキビを刈る仕事に出かけます。彼女が住むコーンサーン郡には、たくさんのサトウキビ畑があるのです。そしてこの仕事が、家族の生活を支えています。彼女は、朝6時から仕事を始めて、夕方5時まで働きます。その間、休憩は昼の1時間のみで、賃金は、刈り取ったサトウキビの本数によって決まります。サトウキビ10本を刈って、1バーツにしかなりません。
 
タップティムは、1日働いて、大体70-100バーツを稼ぎます。ですから、彼女は1日当たり、700本から1,000本のサトウキビを刈り取っていることになります。これは、彼女のような少女にとって、とても厳しい仕事です。
 
「この仕事をすると、私はとても疲れます。朝早く起きて、夕方までサトウキビを刈らなければならないのです。サトウキビは私の背よりも高く、刈り取るのは本当に大変です。刈り取った後は、ナイフで皮を剥いで、束ねたうえで、他の人と協力してトラックに積み込みます。炎天下でこの作業をするのは、とても暑いのです。でも、私は我慢しなければなりません。この仕事以外に、どうやって家族のためのお金を稼いだらいいのか、私にはわかりません。甥っ子はまだ小さいので、私が面倒を見なければならないのです。」
 
タップティムの将来の夢は、国語の先生や旅行ガイドのような、人とたくさん話す職業に就くことです。学校の勉強の中で国語が一番好きで、しかも人と話すのが得意だからです。たくさんの人に、いろいろなお話、例えばドークグラジィアウという花の畑のようなチャイヤプーム県の観光名所に関するお話を、説明して聞かせてあげたいそうです。
 
EDFの奨学金については、次のように話してくれました。「善意の方から、奨学金を受け取るようになって2年がたちました。私が勉強を続けるうえで、この奨学金は本当に役に立っています。奨学金は、学校では支給されないガールスカウトの制服や学生靴を買うのに使っています。ドナーの方には、心から感謝しています。もし、ドナーの方とお会いする機会があれば、お礼を申し上げるだけでなく、私の住んでいる町にも案内したいです。」
 
タップティムは、家計を支えるべき両親などが不在のため、勉強と同時に、生きるために厳しい仕事に従事せざるを得ない子どもたちの一人です。学校では、教育に必要なものすべてが支給されるわけではありません。EDFの奨学金は、タップティムのような子どもの教育費用の負担を軽減するのに役に立っているのです。



刈り取ったサトウキビをナイフで皮を剥ぐ



束ねてからトラックに積み込む



毎日やらなければならない家事





 
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