ナラティワート県イーゴー郡、ルボバヤ村の小さな一角に一軒の貧しい家があります。建物も日々の生活も哀れなほどのの貧困ですが、それら全てを包み込むんでしまう愛と希望に満ちています。そこには、小学5年生のムハンマド・タウフィーク君と、同じ学校に通う小学3年生の弟、ファーイフ君が暮らしています。南部タイ3県での治安不安定な過酷な状況により、二人の人生は一変してしまいました。
左はムハンマド・タウフィーク(小学5年生)、右はムハンマド・ファーイフ(小学3年生
父親を亡くし、その直後、母親も交通事故で急逝しました。文字通り「孤児」となった二人は、ナラティワート県の祖父母のもとに身を寄せました。現在、親戚を含め計8人が共に暮らしていますが、家計は極めて貧しく、収入も不安定な状態です。
祖父はゴムの樹液採取や日雇いの仕事をして家計を支えようとしていますが、仕事がない日もあり、高齢の祖父母にとって家族全員を養う負担はあまりに重くのしかかっています。それでも二人は、孫たちに教育を受けさせようと必死に命を繋いで頑張ってくれています。
【二人の日常生活と夢】
毎朝、叔父が二人を学校へ送り届けてくれますが、持たせてもらえるお小遣いは一日にわずか20バーツ(約85円)です。二人はその中から、将来のためにと貯金をし、残ったお金で食べ物を買っています。家にお金がない日は、タウフィーク君はやむを得ず学校を休むこともあります。それでも彼にとって、学校は「一番行きたい場所」です。そこには、一日を生き抜くための給食とミルクがあるからです。
学校から帰ると、兄弟は進んで家事を手伝います。洗濯物を干し、掃除をし、自分たちの服を洗い、祖父母の負担を少しでも減らそうと働きます。夜になると、兄のタウフィーク君はコーランの学習へ通い、弟のファーイフ君は好きな科目の復習に没頭します。
【支援への願い】
過酷な運命に翻弄されながらも、二人の心は家族への感謝で満ちています。「高いレベルまで教育を受け、安定した仕事に就き、自分たちを見捨てなかった祖父母や恩人の人々に恩返しをしたい」――それが二人の共通の夢です。
2026年度、二人はEDF基金の「南部タイ孤児支援奨学金」に申請しました。この奨学金は、彼らにとって単なる教育費の援助ではありません。小さな二つの命が、尊厳を持って未来へと歩み続けるための「希望の光」なのです。
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