タイにおける「遠隔授業」推進への実態と課題について
タイにおける「遠隔授業」推進への実態と課題について 先日、タイ教育省の方針により「遠隔授業」の実施について皆様にご報告を致しましたが、その実態は決して上手く進んでおらず、特に貧困地域と呼ばれるイサーンでは、極めて多くの生徒達が、全く次元の異なるかけ離れた深刻な状態に置かれているのが実態です。この為、EDFでは、皆様により正しく状況をご報告するために、教師への聞き取り調査を行いました。一部メディア記事からの抜粋も含め、下記の通り纏めご報告いたします。是非、ご一読頂きますようお願い申し上げます。

新型コロナとタイにおける休校中の教育の状況

新型コロナウィルス  (Covid-19) の感染が世界中で拡大しており、タイ教育省は小学校から高校までの学校は2020年6月末まで遠隔授業を実施し、7月1日からの新年度に備えるようとの通達を出しました。児童・生徒は在宅しながら様々な通信手段により学習しています。DLTVと呼ばれるテレビチャンネル、スマートフォンやタブレットを使用してのウェブサイトwww.dltv.ac.thやアプリでの学習などがあります。


 
 遠隔授業は児童・生徒に国語、算数・数学、理科、社会、英語などの基礎科目の内容を教えるもので、朝8時半から14時までが授業時間となります。更に教諭は毎週、子供たちの家を訪問して教材プリントの配布、問題の聞き取り、そのフォローをしています。
学校から生徒の家庭までの道
 

生徒の家庭を訪問し、材料プリントを配布
 
一般的な説明は上記の通りですが、その実態を具体的に確認するため、EDF財団ではナコンラーチャシーマー県パクチョン郡にあるバーン・ノーンマーク学校(小学校から高校までの課程を設置)のワンナラット・ルンルアン教諭に遠隔授業や問題点について聞き取りを行いました。この学校にはEDF奨学生が在籍しています。教諭によると、4月7日から5月17日までの期間に各家庭の準備状況を調査した結果、4つのグループに分類されました。

第1グループ:何らかの端末を所有し、在宅で問題なく授業を受ける事ができる


携帯電話で遠隔授業を受講している中学2年生の学生
 
第2グループ:スマートフォン、タブレットを所有しているが、高速インターネットがないため授業を受けられない


 
第3グループ:スマートフォン、タブレットを所有しておらず、テレビは型式が古く授業を受けられない
 

第4グループ貧困家庭で電気が通っておらず、テレビやオンラインでの授業を受けられない


チョムチャン·チャンロデは12歳、ナコーンラーチャシーマ県のバーン・ノーンマーク学校の小学6年


 
テレビやオンライン用端末を(「子供用に」は削除)手配できない家庭への対応は、ワンナラット教諭によると、「学校としてはスマートフォン、タブレット、テレビの購入を保護者に強要しません。まずは機材・端末を所有してない子供には、友達の家、あるいは近所の自治会長の家で学習してもらい、この問題の解決を図ります。それもできない場合、新学期に使用する教科書と教材プリントを一緒に配布します。学習が他の子より遅れる心配を払拭するためです。7月から始まる新学期では全員が一緒になってカリキュラムに沿って学習します。」

機材・端末以外の問題では、両親が仕事に出かけており、高齢の家族と過ごす必要があります。こういった家庭の子供は集中力不足となり、特に小学生の子供には保護者からの世話が常に必要です。授業の内容を理解できない場合、高齢の家族は知識不足のために説明ができず、近くの病院に子供を連れて行き、お医者様から宿題を教えてもらったというような話も聞きました。


 この様な多くの問題から、教諭は、タイの子供達への遠隔授業の導入は、まだ不向きかもしれないと述べました。特に地方の子供達は、大半がその日暮らしの貧困状態だからです。先生が学校で授業をするのが最善の方法ですが、もし7月1日以降も学校での通常の授業が難しく、オンライン授業が継続される場合、感染予防の対策として社会的距離を保ちつつ、オンライン授業に対応できない子供を通学させ授業を行う準備を多くの学校が行っています。

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