コロナ禍におけるタイの教育の状況について
コロナ禍におけるタイの教育の状況について
タイ国内の新型コロナの感染拡大は収まる様子がありません。8月上旬には、感染者が急増して1万人を超える日が1週間以上も続き、1日当たりの死者は100人を超えています。そのためタイ国内の学校は通常通りの授業を開始できません。1学期はこの状態が続き、最悪の場合、2021年度はこれが通年となるかもしれません。タイ国内の大部分の学校では感染拡大防止ために通学を減らし、オンライン授業を行っています。しかし地方の小規模学校では授業すべてをオンラインで対応することはできません。その理由は、機材が用意できない、インターネット通信がない、保護者が子供の世話をする必要がある、支出が増加するなどの問題を抱えているからです。

基礎教育委員会事務局はコロナ禍の授業として、各々の学校の状況や適性に沿った4通りの方法を示しています。通学を中止してオンライン授業だけで対応する必要はありません。


1.オンライン:Zoom等のアプリを使用したオンライン授業
生配信の授業で、先生と子供たちは双方向のやり取りが可能。機材、インターネット通信の用意が必要、また保護者のサポートが必要となる。


DLTVと呼ばれるテレビチャンネル、スマートフォンやタブレットを使用してのウェブサイトwww.dltv.ac.thやアプリでの学習


2.オンエア(放送):DLTVという教育チャンネルのウェブサイト、YouTube(DLTV Channel 1-15)、DLTVのアプリを利用した放送授業。


生徒が学校まで材料を受け取り         生徒の家庭まで材料プリントを配布

3.オンハンド(手渡し):オンライン授業やウェブサイト閲覧の機材を用意できない子供たちに向け子供たちが理解できるレベルの練習問題のプリントを教諭が作成し、子供たちや保護者が何をすべきかを説明する手引き書と共に教諭が子供たちの自宅にプリントを届けるか、子供たちが学校まで受け取りに行く必要がある。小学生の大部分では、オンライン授業に適した年齢に達していないという理由でこの方法が取られている。

少人数のグループにして授業を行う
 
4.オンサイト(現場):最大限の感染防止対策管理下で通常通りの授業を学校で行う。特に必要性のある子供たちに対しては、学校が所定の対策を行い、少人数のグループにして授業を行う場合もある。



教諭への聞き取り
ブンカーン県 バーンノーンサワーン学校 ウィチャヤナン教諭
学校の種類 小学校~高校
「現在、学校は閉鎖されていて2通りの授業をしています。幼稚園と小学校の子供にはオンハンド、中学校、高校の生徒にはオンラインで対応しています。
オンハンド型では教諭が日時を決めて子供たちにプリントを配布するか、教諭が家庭訪問して、保護者がどうサポートすべきかを説明しながらプリントを配布します。保護者が教科の内容を理解できない場合は、頻繁に教諭に電話をするか、近所でサポートができる人を探すことになります。
オンライン型ではインターネット通信が不安定で授業が中断することがあります。オンライン授業への参加状況や授業後の質問・疑問が生じないことから見受けられるのですが、子供たちが学習内容について行けないと授業に飽きてしまいます。また、それ以前の問題で、携帯電話やインターネット通信がない子供たちはオンライン授業に出席できず、保護者が仕事に連れ出したりするため学習に遅れが生じるという不適切な状況も発生しています。学校側では個別に可能な方法で授業に出席させるようにしています。例えば、機材を持っている近所の子供と一緒に学習してもらいます。」
教諭はさらに続けました。「基本的に子供たちは登校することが最善であり必要なことです。友達に会いたいのです。友達と一緒にご飯を食べたり、運動や他の活動を友達と行うのは一日中家にいるより幸せを感じます。また、小さい子供がいる家庭では子供が自分のことを自分で対応できないので、保護者はさらに大変になります」



コンケーン県 バーンドゥーヤイ学校 ローンチット教諭
学校の種類 小学校~高校
バンコクから戻って来た人が多いため、地域の人の安全を考慮してオンライン授業を開始しました。学校は事前に準備したプリントを子供たちに学校で配布し、オンライン授業で使用します。小学生は授業を見守る保護者が必要なので、年上の子供たちより大変かもしれません。
不安定なインターネット通信の他に、オンライン授業用の機材が足りない家族もあります。子供が3人いて携帯電話が1台しかない場合、1番上の子供がその携帯電話を使い、残りの子供たちは近所に住む同学年の子供と一緒に、ソーシャルディスタンスを保ちながら学習することになります。高齢者しかいない家庭で子供に勉強を教えられない場合、学校が近所に住む年上の子供に協力をお願いして面倒を見てもらっています。
いずれにせよオンライン授業では教室での授業のような対応ができないので、子供たちが学習について行けない心配があります。その上、インターネット料金の問題もあります。現在、教諭は自宅から授業を行い、子供たちは自分のことは自分でする必要があります。望まれてるサポートが近いうちに受けられるか明確でありません。

オンライン授業の準備で教諭の仕事量は以前より増えました。教諭はまた、子供たちと保護者が現在のオンライン授業で直面している問題を認識してもらうために尽力する必要があります。子供たちが教育から脱落しないように、みんなで心を一つに協力し合って、この危機を乗り越え、子供たちが最も効率的に学習する解決法を探しています。」

コロナ禍の学習で発生する問題の総括
  1. オンライン授業で使用する機材を購入する予算の不足。特に、感染拡大が原因で解雇や収入減の問題に直面した家庭の子供への対策。
  1. 高品質のインターネットのための費用負担
  2. 教諭の支出負担。特に教諭が子供たちにプリント配布や学習フォローのために家庭訪問するための移動費用。
  1. オンライン授業で学習について行けない、理解できない子供のストレスや、友達と会ったり年齢に応じた活動が一緒にできないストレス。

 

Connect with EDF
594/22 Patio Ratchayothin, Soi Phahonyothin 32, Sena Nikhom 1 Rd.,
Chan Kasem, Chatuchak, Bangkok 10900 THAILAND | +6625799209 to 11
EDFは1994年には財務省から255号の税制優遇措置団体に認可されました。EDFへの寄付の領収書は所得金額から控除され、この分は所得税が課税されません。 © 2011 EDF Thailand