元奨学生の紹介 (ピヤポーン·トーンカム)
元奨学生の紹介 (ピヤポーン·トーンカム) 現在、タイのカーラシン県カーラシン大学、教育イノベーション学部英語課に通う大学2年生、20歳のピヤポーンさんのメッセージをお届けします。彼女は中学生だった20142016年の3年間、ダルニー奨学金の支援を受けていました。当時のことを振り返り、感謝の気持ちを綴ってくれました


現在のピヤポーン·トーンカムさん

幼い頃、私には両親と暮らした記憶がなく、いつも私のそばにいてくれたのは祖父母でした。学校に行く準備を手伝ってくれるのは祖父で、食事の準備はいつも祖母がしてくれました。休みになれば、祖父母の農作業を手伝いました。大人になって、周りから両親のことを聞かれることがありますが、母がバンコクへ出稼ぎに行ったこと以外は何も知らず、質問をされても返事ができませんでした。父について祖父母に聞いてみましたが、答えてはくれませんでした。私が嫌な思いをすることがないように気遣ってくれていたのだと思います。14歳になり、出生証明書を見る機会があったのですが、父親の名前の記載はありませんでした。後に母から、母が妊娠している時に父はそのことも知らないまま出て行ってしまったと聞きました。私はそれを聞いて少し腹が立ちましたが、どうすることもできず、生きることに精いっぱいでした。

私は、祖父母が結婚した時に自分たちで建てた、今では老朽化した木造家屋で暮らしています。中学3年間、幸いにして私は日本の支援者様からダルニー奨学金をいただくことができました。そのおかげで勉強に励むことができ、家計の心配も減りました。いただいた奨学金は、教材やレポートの印刷費、学校での昼食代、インターネット代など、勉強に必要な費用に使いました。私にとってダルニー奨学金は貴重な唯一の経済的な援助で、この奨学金があったからこそ、中学校を卒業することができました。高校に通うための費用は、一時期近所の人に借りたこともありましたが、祖父母と母が一生懸命働いて、私の卒業まで支えてくれました。

    
ダル二ー奨学金を受けていた頃 (左側から:中学1年、2年、3年)
 
私が大学に入学する頃、コロナ禍になり母のバンコクでの出稼ぎの仕事はなくなり、家に戻ってきて日雇いの仕事を始めましたが、日当はわずか300バーツ(約1,000円)でした。母はそのような中で6年生になる私の弟の面倒をみながら、年老いた祖父母を日々支えています。現在、祖母は60歳、祖父は67歳です。私は大学に進学したかったのですが、祖父母は体が弱く、私の大学の費用をまかなうことはできません。そこで、国の奨学金制度を利用して、今日まで勉強を続けてきました。また、週末のアルバイトと、学期末の休みには文章を書くアルバイトをして、学費の足しにしています。
 

母親と農作業

私の夢は、学士号を取得し教師になることで、それまでは政府の学生ローンとアルバイトの収入で学費をまかなおうと考えています。就職後はお金を貯めて、将来は校長先生になるために修士課程を修了するまで勉強したいと思っています。
 
 
教師になるために大学で学ぶピヤポーンさん
 
もし、私を支援してくれた支援者様にお会いできたら、「私のような恵まれない生徒のために奨学金を提供してくれてありがとうございます」とお伝えしたいです。奨学金は、勉強するための十分な資金がない私のような生徒をサポートするのに役立ちます。それはまるで新しい人生を歩むようなもので、私の夢を実現するための扉を開いてくれました。チャンスがあっても掴めない人がいる一方で、チャンスすらない人もたくさんいます。貧しい子どもたちを支援する大切さを感じていただき、あたらめて感謝いたします。次の世代の子どもたちがより良い教育を受けられるよう、ダルニー奨学金制度がいつまでも続くことを願っています。
 
貧しい子どもたちの中には、私のように父親がいない子や母親がいない子もいて、祖父母や年配の親戚と暮らさなければ生活できないので、家計が苦しい子どもたちにとって奨学金はとても有益です。なかには食べるお米もなく、勉強を続けるお金がない子もいます。しかし、ダルニー奨学金によって、多くの子どもたちの人生が変わりました。貧しい子どもたちが教育を受けることで、将来、教師や医師、その他多くの職業に就くことができるようになります。
 

 
 
次の世代の生徒たちには、何もなかった私たちにEDFはより良い生活と未来を手に入れるために、支援の手を差し伸べてくれたと伝えたいと思います。もし支援を受けることができたなら、その支援への感謝を忘れずに、自分たちと同じような貧しい子どもたちのために、将来、次の世代への支援をするように伝えたいです。「目的地に到着した時には、どこから来たかを忘れてはならない」と。
  
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